渡辺カケルのブログ

小さな人生の物語

またしても「石」

こんばんは。またしても昨日スタジオで録音した「石」という曲をアップロードしました(笑)ほんとこの曲は歌うと気持ちがいいです。他の部屋のバンドのベース音が入っていたり、声が裏返ったりしていますが、個人的には好きなテイクです。よければ暇なときに聴いてみてください。

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この「石」という曲は、もともと、「石」という詩がありまして、まずこの詩を書いたのが沖縄県出身の山之口貘(1903-1963)という詩人です。

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私たちのようにどこにでもいる生活者の視点から書いた詩は、平易な言葉でありながらも、独特な目の付け所で貧乏であるがゆえの切なさや、社会に対する憤りなどをさらっとユーモアを交えて言葉にしていると思います。読んでいると貘さんの人柄から生き方までをあたかも知ることができるような気がしてきます。写真を見ると、会ったこともないのになぜか懐かしいようなホッとした気持ちがしてくるのが不思議です。詩には「貧乏」という言葉が貘さんを物語るキーワードとしてよく使われます。自分の人生を詩のフィールドにして、貧乏だけど這ってでも生きるという、いわば雑草のような詩が読者に生きる勇気を与えてくれます。普遍的なことを書いているからか、内容も古いとはあまり思わないですね。 それと突然、詩のスケールを足元から一気に宇宙規模に大きくしたりと、技巧的な遊び心を入れてきます(笑)

一方、詩の創作者としての視点からみると、自分を貧乏という言葉で表現することで読者の心理的ハードルを下げて、親しみを感じやすくする、それを作為的にやっているのであれば相当な自己プロデュース力だと思います。

曲がりなりにも私は大衆音楽というものを作ることがあり、その工程の中で音楽に言葉をつけます。貘さんの詩を読むたびにこういう詩を書きたいと思うのですが、なかなか思うようにはいきませんね。言葉は書いた人の人柄を越えて、その人の無意識のようなものまで反映する気がします。良い言葉を書こうと思ったらいい人間にならなくてはいけないのかもしれません。と書いたところで墓穴を掘りそうなのでここまでにしておきます(笑)